【これって多いの?少ないの?】気になる昇給の平均額について調べてみた

【これって多いの?少ないの?】気になる昇給の平均額について調べてみた

 

日本国内では、1年間の従業員の勤続を評価し、毎年4月のタイミングで昇給をする企業が多く見られます。

 

昇給は従業員にとって嬉しいものではありますが、「世間と比較して、自分の昇給額が高いか低いか分からない」といった声は少なくありません。

 

昇給額の傾向については、中小企業・大手企業・公務員など、勤め先によって違いが見られます。

 

また、高卒や大卒など、学歴によっても昇給額は変わってきます。

 

昇給額は将来の収入面に直接関わってくる要素であるため、特に転職を考えている方は、しっかりと情報収集しておくことが望ましいでしょう。

 

ここでは、勤め先や学歴による昇給額の違いについてご紹介します。

 

 

■【昇給額の相場その1】中小企業

 

中小企業の昇給率は、一般的に「1.45%」程度が相場であるとされています。

 

25万円の給与を受け取っている方の場合、具体的な昇給額は3,500円前後となるケースが多くなっています。

 

企業によって昇給率には違いが見られますが、中小企業の昇給率は高くても4%前後と言われています。

 

もちろん、相場とされている1.45%を下回る企業も見られます。

 

一般的な企業では、1度従業員の給与を増やすと、一方的に減額をすることはできません。

 

そのため、日本全体の景気が良くなったとしても、昇給に消極的な姿勢を見せる中小企業は多く見られます。

 

また、中小企業の10年後の昇給率に関しては、一般的に「120%」前後とされています。

 

現時点で25万円の給与を受け取っている方の場合、10年後には約30万円の給与を受け取れると予測できます。

 

ただし、中小企業には将来の給与を予測しづらいという特徴があります。

 

多角的に事業を展開しているわけではないため、中小企業の経営状況は景気に左右されやすく、時期によって昇給率にばらつきが見られます。

 

したがって、どのような中小企業でも10年後に120%の昇給率を期待できるわけではありません。

 

 

 

 

■【昇給額の相場その2】大企業

 

経団連(日本経済団体連合会)が実施した2015年の調査によると、大企業の昇給率は「2.59%」とされています。

 

中小企業よりも約2倍昇給率が高く、25万円の給与を受け取っている場合、具体的な昇給額は6,500円前後となります。

 

大企業の昇給率は中小企業に比べると、好景気の影響を受けやすい傾向にあります。

 

中には機械金属業の2.91%のように、3%近い昇給率となっている大企業も見られます。

 

特に2015年の昇給率が高かった業種としては、ほかにも自動車産業や製造業などを挙げることができます。

 

また、大企業は多角的な事業を行っているケースが多いため、短期間で経営状況が一気に傾く可能性は中小企業より低い傾向にあります。

 

そのため、大企業には将来の給与を比較的予測しやすいといった特徴が見られます。

 

 

■【昇給額の相場その3】公務員

 

公務員の給与は、基本的に俸給表によって定められています。

 

昇級するごとに給与が増える仕組みとなっており、昇給額は2万円前後~7万円前後までさまざまです。

 

また、「公務員の給料は民間の給料に準ずる」という前提が存在しているため、仮に不景気によって民間全体の給料が下がった場合には、公務員もその影響を受けることになります。

 

したがって、公務員の昇給率は毎年同じような値になるわけではありません。ひとつの例として、平成14年の行政職俸給表(一)・(二)適用職員の昇給率を挙げると、平均は1.66%とされています。

 

景気が落ち着いている状態では、公務員は将来の給与を比較的予測しやすい職業であると言えます。

 

ただし、政府の政策・景気の影響などによって給与が大きく変動する可能性もあるため、時期によっては将来の給与を予測することが難しい場合もあります。

 

■高卒と大卒の昇給額の比較

 

2003年の調査では、大卒者の平均昇給率は男性「約2.9%」

 

・女性「約3.33%」とされています。

 

高卒者の昇給率である、男性「2.32%」

 

・女性「約2.02%」と比較すると、大卒者の方が昇給率が高いことが分かります。

 

このように、高卒者と大卒者では昇給率に違いが見られるため、生涯年収においても最終学歴によって差が生じています。

 

2010年の調査では、高卒者の平均生涯年収は「約2億円」であるのに対し、大卒者の平均生涯年収は「約2億5,000万円」とされています。

 

もちろん、勤め先や業種によって昇給率には差が見られますが、基本的には高卒者よりも大卒者の方が昇給率・生涯年収が高いと言えるでしょう。

 

2015年8月現在においても、日本ではこのような傾向が続いています。

 

 

■おわりに

 

ここまで、勤め先や学歴による昇給額の違いについて紹介してきました。

 

業種や企業によって差は見られるものの、全体的には大企業と中小企業の昇給額の差は大きいと言えます。

 

また、最終学歴によっても昇給額は変わってくるため、大学を卒業して大企業への就職を狙っている方は多く見られます。

 

ただし、昇給に関しては単に金額だけでなく、「昇給の目的」にも目を向けることが大切です。

 

社員のモチベーションを維持するために給与を上げる企業も見られますが、「従業員の定着率を上げる」ことを目的として、昇給率を高く設定している大企業も少なくありません。

 

つまり、昇給額が高いからと言って、必ずしも労働環境や労働条件が良いとは限らないのです。

 

就職先・転職先を選ぶ際には、給与額や昇給額だけでなく、企業のさまざまな面に目を向けることが大切になるでしょう。